高畑耕治の詩


童話、月のひかりの



   ひとひら


いちょうひとひら
風に舞いおり
夜空舞いのぼり

三日月



   ちょうちょ


いちょう
ちょうちょ

きいろのお羽根
夜空にとまろ

きれいなお花
三日月になろ



   ふとん


おぼろ三日月さむがりやさん
真綿ふとんに
浮かんで沈んで

くるまり
真っ白
寝おちした

おぼろ三日月あつがりやさん
真綿ふとん
けっちゃった

かぜひかないでね
綿ゆめ
おかけ

おやすみなさい



   レモン


お月さま

折れそう
砕けそうな
こころ

あなたの
お月さまレモンの滴で
つなぎとめました

ありがと



   うさぎさん


晩秋つめたい真夜中
真っ黒な空

月のひかり
あんなにまばゆく
愛しすぎ

かぐや姫の
あなたの
はだの微笑みのよう

わたしを
捧げたい

すいあげられ
あなたのまあるい
ひかりの子宮へ
おちゆき
とけゆき
くるまれ

ひかりとかげりの
はかない影絵
優しい童話
あなたに
どうか結べますように

うさぎさんと



  *ルビ 愛しすぎ : かなしすぎ


「 童話、月のひかりの 」( 了 )

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