高畑耕治の詩


さくら、恋うた( い)

若葉の



  星のかたち


さくら花びら散りさり
残された額縁は
星のかたち
朝焼けいろの

めしべおしべむつまじく
星紅( くれない )にゆれ
後朝( きぬぎぬ )の
はじらいさみしさ
頬染めて



  うすきみどりの


華やか儚い花びらのかげ
うっすらうすきみどり添え美しく
さくら若葉も芽吹き



  予感


さくらあなたの淡い
うすももにやわらかな若葉の
うすきみどり芽吹き
溶けあういろもよう
美しくさびしい

別れの予感に
ふるえているからでしょうか



  うす紅( べに )


さくら花びらあなたが
さよならした梢に
さみしさいろの冬空
いまはない

淡いきみどりうす紅さして
かすんでる



  水彩画


さくらあなたの細い枝さき
けやきの高い枝えだ
空にのびる
筆さきに

跳ね沁みる
水彩絵の具
淡いパステルカラー
若葉いろいっせいに



  若葉のうた


木々のきみどり若葉
青空へのびゆく若やかな
よろこびのうた
さくらけれどあなたの若葉
涙いろ沁みて
愛( かな )しい



  山吹のひと


さくらあなたをみあげ歩きまわって
今朝わたし落としものしました
たいせつなものでした
すぐに戻れなくてやっと
探し歩いても
みつからず悲しかった

諦めかけ
帰りかけたときあなたの
幹にふれゆれる
山吹
花かげのベンチに
わたしの落としもの
折り畳まれて置かれていた

さくらあなたをみあげていた
こころ優しいひと
さくらあなたがみまもり
こころあたためてくれた
山吹の優しいひと

ありがとう

たいせつなもの抱いて
夕暮れさくらいろ
ほのかな道
帰りました

花のこころのひともいるんだ



  最終楽章


さくら花ゆきあなたとの
お別れのうたさびしい
最終楽章の今朝
ふいに空からあわゆき
舞いおりふりしきりあなたに
花を贈り花を添え合唱する姿
愛( かな )しく美しく

 ゆきは 花に
  花は ゆき に
   ゆき 花 ゆき
     花 ゆき 花
      はな はかない
        は  は  は
         な  な   な

さくら花ゆきあなたは
とおくへ
ここではない世界へわたしを
誘( いざな )い
つれていってくださるから


 あ
  な
   た
   が
     好
      き さ
         く
         ら は

            な
              ゆ

               き




「 若葉の 」( 了 )

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