高畑耕治の詩


ゆびの爪



気づくとゆびの爪
のびていて

逢えない触れられない虚しさの
鈍くまのびした
空白の時間
もうこんなにも

あなたにいま触れたくて

ゆびのばし
時の流れの
愛しみの

さかのぼる

いま触れあいたくて

けして消えない
愛おしい
生きつづける
記憶

こころの手のひらで
さぐり
さわり
つかもうと強く
爪たてると
孤独

痛くて

傷を
愛としる




* ルビ 愛しみ: かなしみ



「 ゆびの爪 」( 了 )

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