高畑耕治の詩


せみのうた



   


かなかなのうた
風のさざ波
くりかえしうち寄せる
愛しい声
こころの渚に涙に



   


旋律せんさいに奏で
かなかな
バイオリニスト



   


こころせみにしぐれる

あなたおもいしぐれる



   


せみとぼく
子どものころから
なくばかり

燃える夏
いちどかぎりの
ひかりに



   


せつなさの合唱の夕立の
激しさにうたれ
ぐしょぬれたらこころ

なぜだかふしぎ
雨あがり

いちばん星も
うたいはじめ




* ルビ 愛しい: かなしい



「 せみのうた 」( 了 )

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