「 サツマイモさん、話してくれて、ありがとう。わたし、春になったら、すみれ咲く野原にあなたを戻してあげるね。どうか、葉っぱのハートをそよがせて、風に愛しみ、伝えてね 」
「 ありがとう、やさしいひと。けれど、そろそろ、おわかれの時のようです。ぼくは季節外れのお芋でした。ほんとはもっと早く食べられて、あなたになれたらよかった。ぼくもうしわくちゃ。食べられないね。あなたになれず、ごめんね 」
「 ごめんなさい。わたしこそ、あなたを閉じ込め、枯らせてしまった。ほんとうはあなたを、あなたのハートをこの部屋で見ていたかったの、感じていたかったの 」
「 だいじょうぶだよ。やさしいひと。すみれのハートがあなたのハートに生きはじめてくれたから、あなたと咲いていてくれるから。ぼくはいまとても幸せなんだ。ありがとう。
すみれのところにやっとゆけるいま、すこしも悲しくないんだ。ぼくを焼き芋にしてください。燃やし尽してくださいね。
すみれとおなじ青空になるんだ。青空になったら海にもなれる気がする。そうだ、なれるよ、きっと。
宇宙の星にも。彼女と結ばれてふたつ星、ハートの星座が夜空に瞬いたら、ぼくたちを思い出して。
さようなら 」