高畑耕治の詩


なぜ



――なぜ、不安、おそれが?

美と感動と愛の極みの混沌に星の産声を聞こうと、
宇宙空間の暗闇を孤独に漂うから。

銀河と星また星の美しさを浴びながら、
新しく、また、生まれるのだろうか?
暗闇にのまれ消えるのだろうか?
なんともいえないはじめてのあわいをひとり。

――美文、気取りすぎ、溺れてるだけじゃん?

生まれてすぐ、宇宙に溺れているよ。
母の乳房は泳げないぼくの浮輪になってくれました。
離したいま、溺れながら、
泳いでいると思っているかぎり、沈みきるまで人は、
泳いでるんだ。

息、もう、苦しいけど、
海も宇宙も羊水のよう、
母、美しく
愛しい。




* ルビ 愛しい: かなしい



「 なぜ 」( 了 )

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