高畑耕治の詩


かえで、旅立ちのうた



  葉っぱのうた


葉っぱ
花より愛されて

きみどり みどり
き だいだい
うすべに しんく

手のひら
ひらら
風に
はらら
さようなら

しとやかに
深紅
しっとり
ふりつもります



  花のうた


花なのに
葉っぱほどに 愛されなくて

透けるほどの
うすきみどりのやわはだの
赤んぼ手のひら五ほんのゆびに
かくれんぼ

あかく ほそく
みつけて ぼく
ここだよ



  種のうた


風に
ふるる
ふるるるる

ぶうめらん

くるる
くるふるふるる
おんぷになって

まわれ
舞え
かすかな風を
奏でます



  


葉っぱも花も種もみんな かえでの
木が好き
おおきな幹とのびやかな枝の あの
木が好き だから
うたって 旅立つんだ と
ある日わたしにちっちゃな子どもたちこっそり
教えてくれたのです


「 かえで、旅立ちのうた」( 了 )

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