高畑耕治の詩


青い空のあの白い

誰にも言えないから あなただけは聞いてね

働き者になれるようお金持ちになれるよう
学んでいるの?
わからないまま通う校舎
せまく閉ざされた箱 押し込められ息苦しい
教室の窓から
青空ながめてました 白い雲に話していました

  働けるよう生きてゆけるよう
  たぶん学んでいます
  たべるためにみんな働きます
  とても疲れます( あたりまえのこと )
  狩りはいのちがけ
  動物植物昆虫も いつもいのちがけ
  疲れたら たべられます( あたりまえのこと )

ひとはどうして 生きたいって友だちの願い
壊してしまうんだろう
( あたりまえなんかじゃないよ )

  わたし 疲れたよ

教室の窓ガラスの向こうに 小鳥やってきたんだ
むごさ砕きたいって
もうここにはいられないって
閉じ込められてた いじめから
飛び降りた あなたなの?
あっち向いたりそっち向いたり
落ち着かないしぐさ

うなずいてくれたの?
あなた 小鳥になったの?

  肉食動物は狩りやめたら死ぬだけ
  草食動物は草花たべるのやめたら死ぬだけ
  草花は光と水
  採るのやめたら死ぬだけ
  ( みんなみんなあたりまえのこと )

ひとはどうして自分まで壊してしまうんだろう
( あたりまえなんかじゃないよ )

あなたの苦しみわからなかったの わたし
痛くて 苦しい いまごろになって
ごめんなさい

小鳥とんでゆきました
どこへゆくの?
雲になるの?
青い空のあの白い

考えてもわからなくてつらくて疲れて
もう早く眠りたいだけ 学校からの帰り道

短い夏の終わり
ななめ色きん色に照りつけ
降りそそぐ光のように空から舞い降り
肩にそっと
止まってくれたんだ
せみ

またきてくれたの?
わたし あなたの
木になれる? お別れの木に

  たべても
  光と水は痛くないかな?
  なら そうならわたし
  木や草花に なりたいな

わたしのこころの木の根っこに生みつけられた
あなたの願いのたまご
生きてるのかな?

あたりまえのことってほんとはなんだろ?
わからない わたし
あなたに生きてほしかっただけ
もっとあなたといたかっただけ

木になれるよう 倒れないよう
たまご壊さないよう わたし
がんばるね

  できることなら
  光のまま水のまま風のままがほんとはいいんだ
  青い空のあの白い
  雲になりたい

誰にも言わない けど
あなたとなら話せる気がするの いまごろになって
ううん これからも


「 青い空のあの白い 」( 了 )

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