高畑耕治の詩


こころを込めて

まっ赤に泣く赤んぼのように 懸命に
手のひらまるくおにぎりつつむ
おかあさんのように
こころを込めて

財産、権力、軍隊、原発、賢しらな傲りの
魂のない打算の玉ねぎ
虚ろ曝すまで剥がす
虚しくても

あおい空あおい海
雨に洗われたみどりのひかり
山も畑も田んぼも
風も梢のさえずりも
忘れてしまったの?

なつかしい音楽うつくしい絵画
まばゆい映像ときめく物語
なくしてしまったの?

穢れながら純潔を 汚れながら純心を
濁りながら純白を 疑いながらも
祈らずには
探さずにはいられない
こころの木魂
呼び求めあう声を

裸んぼの産声を
微笑みにくるみ
涙で洗ってくれた
おかあさんのように
じぶんをいつも後回しに
ただ
愛しくて悲しいから

優しいこころはいつも痛い
こころふるわせ
生みたい
育てたい
守りたい
愛したい

ひとだから
こころを込めて


「 こころを込めて 」( 了 )

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