高畑耕治の詩


うろこぐも
  くじらぐも


さかなたちはうたっているよ
むかしからずっとうたってる
あおい波のこどもだから
あんまりおおきくて
海はうばおうとしてもだめ
うろこでくすぐるばかりだよ

かもめたちはうたっているよ
むかしからずっとうたってる
みえない風のこどもだから
あんまりおおきくて
空はつかもうとしてもだめ
はねでうっちゃるばかりだよ

海の波 空のくも
海のくも 空の波

きこえてくるのは
風と波のうたごえばかり
ゆきかうかもめは
あおい空の
波しぶき
水平線を
おんぷになって
あがったりさがったり

空と海と空のあわい
沖合に
うろこぐも
あのしたでさかなたちが
およいでる
おなかのなかのうきぶくろ
ふくらんで 白いかげ
空にうつっているのかも

どこまでいっても水平線
沖合はるかなあの
おおきなくも あのくもは
くじらぐも
あのしたでくじら
およいでる ねがいをこめて
ふきあげられた潮水が
くもになって
かもめとあそんでいるのかも


「 うろこぐも くじらぐも 」( 了 )

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