高畑耕治の詩


山の冬の銅版画




瀬の水音
木々の枝々あちらこちらの
葉むら木漏れ日
天頂から足元から右から左から
間遠から間近まで
小鳥 木霊のたえまない
さえずり
みみもこころも
洗われて

枯れ葉淡いセビア色
岩の灰白色
ささめくササと
シダとコケの緑

ふみしめる足と
幹と岩をつかむ手のひらと
吸い込み 吐く息音で
言葉なく会話する

切り立つ険しさの斜面に根を張り
青天へ垂直にしがみたつ木々
斜面に倒れ樹皮腐りくずれ
根をむきだしにさらす木々

傾斜面に谷底まで幾重にも奥行き深く
絡まり重なり描く限りなく細やかな
無数の枯れ枝の
無限曲線美細密画
聖なるエッチング
鋭角と平行線の交錯する
無数の極小多角形
腐食銅版画

稜線にたち
遠く
山なみを 地平線を
海を 水平線を
白く氷る心に線描し

山頂から
青空のあおに飛びこむ




※読み 描く : えがく



「山の冬の銅版画」( 了 )

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