高畑耕治の詩


 きりんさん の心


星の乳房をくちびるに


あなた おぼえてる?
子供の頃みんな口ずさんでた この歌を

   泉は優しい星の乳房
   すくいとろうよ くちびるに
   ふるえているよ やわらかに

泉のほとりで わたし聞いたの
おかあさん 泉の水ってどうしてこんなに
澄んでるんだろ 光ってるんだろ ねえ
おかあさん 泉はどこから生まれてくるの?
微笑んで 教えてくれたわ この歌を

   泉の水は 星の乳
   赤んぼの くちびるが好き
   たっぷりお飲み このお乳

おかあさん 泉って生きてるの?
そうよごらん 星があんなに
( あ 天の川・・・ )
耳を澄ませてごらん ほら
( あ 歌ってるわ・・・ )

おかあさんはもういない けど今も
愛(かな)しい水面になつかしい星たち
微笑んで 温めてくれるの あの歌で

   泉は優しい星の乳房
   泉の水は 星の乳
   愛してるって光ってる
   いのちが結ばれますように

光に輝く草花も 草花を食(は)むわたしたちも
猛獣もひともみんな 星の赤んぼなのね
あなたを愛して思い出したの あの歌を
わたしも泉で歌う星なのね

 ・・・その夜ぼくは、愛する女(ひと)の歌につつまれ
そっと、くちづけたのです、あの女の泉に。
美しい星の乳房のほとりで。


「 星の乳房をくちびるに 」( 了 )

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