高畑耕治の詩


献花




やみにやみはまたやみ
やみをやみにするのも
やみをあおりふかめ
のがれがたいさだめ
にまでおとしめるのも
やみ

どこにももう
みあたらないからこそ
さがしさまよわずにはいられず
みつけられなくても
やみのやみ 遙かにいつか
ひかりを

いやなことばかりの歴史といまの
やみにあってさえ
人の
言葉をつくして
人に
伝えようとまだするのなら
人を
愛そうとあきらめなかったのでは
ないのか この
やみにあってさえ

いなくなってしまった
人に
香る花を

死ぬのが生きもの
生きるのが死ぬもの

生きものを殺す生きものがきらいな
死ぬものなりの生きかたを
できうるかぎり残酷でなく
とげたいと生きた生きものも
ひとりだけではなかったはず

かなしみの
人に
鬱うつと美しい
花を





「 献花 」( 了 )

TOPページへ

新しい詩
目次へ

サイトマップへ

© 2010 Kouji Takabatake All rights reserved.
inserted by FC2 system