潮騒に海あおく香る日
こんな話をしてくれたひと
あなたを思いだした
読みはじめた大切な
詩集の閉じかた
めぐりあえ 息を止め
やすらい 思いはせて
好きな詩を
ひらいたまま
潮風に
ふいに吹きめくられ
ぱらぱら最期のページ
パタンと扉まで
閉じられ
心だけ
置き去りにされても
そんな終わりかた
なら いいな
潮風に
黒髪の
唇から
愛して
死にたい
愛しい
声がした
青い波
銀のしぶき
赤い波
金のしずく
悲しく
光った
瞬間は
花びら
書棚の片隅の
すきまに
はさまれ
忘れ去られて
時の果ての
ひとの
手にとられ
はらり
愛は
生きているから
死と生の潮騒に
なみだち
香り
輝き
こわれても
遙かに
こだま
したりする
咲き香り光り儚み散り薄れ
夢み消えゆき 海は
花
どうか詩だけは美しく
ふりそそいでくださいますように