高畑耕治の詩


うたびと、不思議の星めぐり






疲れきると書けたりもする
不思議の銀河の創作の森の
生き地獄




  中原中也調で



屈折しているのは、まっすぐだから
なんのことやら
痛いのは、ただ痛いから
なんのことやら

このからだこの脳このいのち
怖いのは、やみか
壊れまぢかの
輝きのときか

よくないクセでありますが
失望ばかりのこの世では
絶望までは、あの世まではと
あがくヒトではありました




  和歌ふうに



一年中たのしい運動会
AI相手の、
長ながつづくこの綱引きに、はや
知では
負けてるけれど

血と涙と情けばかりは
負けるものかは
ひとならば

愛しみ、優しさの
感受性がひとの
いのち




  うたびと



歌人と書かれていると
うたびと
とも読めて
こころほがらかになる

詩人と書かれていると
貴人ではなく
奇人
あやういひと
としか読めず
悲しい

旅びと
いずれも
ゆきずりのひと




  星の森めぐり



あきらめないこと
確率は限りなく低くても。
あきらめない人、よい人、
よいこと、にまた
であえる
かも。
流れ星眺めつづけて
流れてくれた、
ことも
ある。
凍えたけど。

太陽を地球
数周もまだしないのに
十数周もしないのに、子どもが
二十周そこらのうちに、若者が
自転する昼に夜に、自死する
この島国、
この星で

 ( 線香花火
  きえちゃった )

さむく

 ( あわ雪
  とけちゃった )

ひとりきり

陽光に背を向けずには
いられなくなるとき
真逆の真っ暗な
真空の
なんにもない
闇空に、

みつけられたのなら
よかったのに

虚空をわけもわからず
むだにだらだらさまよい
疲れきったあげくの果てにも
あきらめきれなかった
ただそのことだけで

めぐりあい
であい



訪れてくださるのなら
いたみ
さえ
救われるのに

散り落ちてゆく星の欠けらの
人くずなりに燃えつくす火を
うしなってゆきながら

どこかへ
さようなら
してゆくしずかな
やさしくやわらかな
さいごのまぶしい
ひかり


和音
のような

いのち
抱きとめ
明らめ

ゆめ


体温
のような

ふいに
きらきら
ゆきすぎる

ひかりの
小鳥

星わたの


きれいな
よいこと
にも

であえる


愛し

あえる




※読み 愛しみ: かなしみ。真空: しんくう。



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