見えない風のおとずれに
ひるがえり
ほお
赤らめ
耳もとそっと
囁く
秋、
楓
まぶたをあけみわたすと
銀の穂波
ススキに
月の滴
ゆらめきに
まもられ
傷口は
ふさがれていました
ほおをくすぐられ
うながされ私の
背中のくすぐったい
透明な羽も
秋の音
奏ではじめていたのです
戦火の
災害の
都市と村と森の夜に
眠りの
稔りの
祈りの
鎮まりの
音楽を
野にさまよえば
輝き匂う
金の花波
オミナエシ
会え、微笑み
愛
遠い時
待ってくれていたかのよう
かなしい
咲き顔
しなやかしめやかな
立ち姿のように
生きめやも
秋の花、秋の歌のそばに
たたずみ、
( いつも胸苦しく
つまってしまいそうな )
息を、
しました。
唇を花びらと
かさねあわせ
ふかくあわく
秋を吸う
と
風、
見あげれば
梢の
木の葉
音符の小鳥たち
( 飛び立てるでしょうか
わたしも )
もえて
虹色
愁いの楽章にも
美しく
風