高畑耕治の詩


夏の花




この夏にも初めて
いちりん、
うつむき
うなじ美しく
白ゆり

夕暮れ雲も花に
頬あからめて
セピア色

天の川の岸辺から
日の女神さま
おだやかに地を鎮め
満天の星々
眠りの夜をくださいますように

沈み昇りつづけ
目にする地平線には
原爆、原爆、空爆、空爆、
戦火の渦

禍の神々と狂信者の
血眼の呪いに蝕まれた


けれど
この夏、
明日から
つぎつぎに星々の滴
白ゆりの
美しく咲く




※参照 夏の花:原民喜(はらたみき)の小説名。
※読み 禍: わざわい。明日: あした。



「 夏の花 」( 了 )

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