高畑耕治の詩


夏夜空、聖誕祭




 羽銀河


猛暑ゆらめく歩道
横断するセミの幼虫
自転車にひかれそう
掌から街路樹へ
サヨウナラ

陽は沈み
木肌をつかみ
闇のなか
呼吸しているでしょう

ときをまち
殻は割れ
ちいさな背から
ひろげるでしょう
天の川

夜空ふか紫
透ける星々
まばゆい




 星飛沫



時空は痛み
からだも思考も感受性も
傷口
生気を失い
干からびはじめる
がらがらの殻の
割れ目から

まだしらない、

みつからない、

ここにはない、


ここではない
どこにか
あるはずの
むこう
無の世の
創まり

遥かな畏れの
宙の裂け目
天の川へ

飛び込み
星々の
飛沫をあげ

羽化する




 星誕祭 二句



天の川にセミしぐれ



真夏の天の、聖誕樹




※読み 聖誕祭: せいたんさい。クリスマス。
 羽銀河: はねぎんが。宙: そら。飛沫: しぶき。
 星誕祭: せいたんさい。
 聖誕樹: せいたんじゅ。クリスマスツリー。



「 夏夜空、聖誕祭 」( 了 )

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