高畑耕治の詩


天の川、愛の古事記




南海ゆらめく洋上の特攻で
ひめゆり咲く沖縄の洞穴で
現人神天皇陛下の御ために
一身一心のすべてを
棄てさせられ果てた
祖母も祖父も、

梅雨のま煙る天の川の
紫陽花の岸辺から
光の花びら滴りふり
ササの葉の短冊ゆらして
ねがいごとに
こたえてくださり、

「 戦死者戦災死者を犠牲にし
生き延びた人間宣言の
死ぬふりしたモト神さまとスエを
崇め奉ることばかりに失神して
神代の八百万の神々も
歴史も古典も人びとの
喜怒哀楽の生きざまも
教科書もろとも墨で塗りつぶし、

「 戦死戦災死させられた
一人一人、参政権なく
徴兵され空襲され被爆した
犠牲死者に
愚かな聖戦の
開戦と敗戦の
非と責を罪と罰をあがなわせた
かのように
とりすましましまして、

「 現人神は禍言の神
公平と平等と個性と自律
独立を厭い損い、恒久の
中立を貶める禍いの神
モウ人ヲ差別スルナ

「 敗戦国、軍事占領されつづける国
大東亜共栄圏
弱小、劣等、黄色人種民族の
末裔、おまえたちは
卑屈な隷従の薄ら笑いうかべ
文化も歴史も言葉も
特攻も強制自害も原爆地獄も
忘れボケ果て、

「 投票権もポイ捨て、陰口叩き
放言するばかりのおまえたちが
戦死、特攻死、強制自害、被爆死
繰り返してしまうとしても、

「 戦争、殺りく、
殺しあいを望まない
参政権のまだありもしない
子どものゆくすえを
武力に媚びへつらい
強奪するな、

「 歴史、文化、古典
戦死者戦災死者の
古事、
血と地を
見失うな 」

七夕鎮魂伝説の、甦りでした。
祖父の、祖母の、
天照大御神と
八百万の神々の。

わたしはどんな一神教にももう懲りました。

信仰は一人一人の真実
独立中立しわたしはわたしの
愛する人一人一人を
祭り敬い守ります、と。

万世一系祖神
内戦勝利権力者のための
まがいもの血統神話の
でたらめな嘘の鎖は断ち切り、

アマテラスオオミカミ
太陽神
まるい姿そのまま、みあげれば
なんてすてきな
女神

輝きに
照らしだされ
星の子ども

あお空に
のぼりしずみ
浮かびめぐる
おおきな母の

愛おしみ。

服従を強いるものになんて
神さまはいない、
ほんとうに
大切な
神さまは

ほら
星色の花びら
月のひかりにまとわれて
まどろむやわらかな
ねいきに、すやすや
愛おしく。

正義おめき叫ぶ狂神信者たちの
傲慢非道な殺傷ミサイルの極悪
禍ごとの苦と痛みさえ

流れ星ちりちり
ササの葉鳴らす
七夕の愛の伝説に
穢れもろとも祓い清められ

天空、遥か
神々星々も
アマテラスオオミカミも
ひとの涙
悲しみのきらめきの
ひとつぶの滴

かなえられ
ねがいの短冊
天の川にゆらめき
かけわたされますように

ひともろともに古事も未来も
消えさる日まで

ほんとうに
音色の
花のように
儚すぎてひと、あなたは
すてき




※読み 現人神: あらひとがみ。
短冊: たんざく。禍言: まがこと。
七夕鎮魂伝説: たなばたちんこんでんせつ。
天照大御神: アマテラスオオミカミ。
八百万: やおろず。七夕: たなばた。
音色: ねいろ。



「 天の川、愛の古事記 」( 了 )

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