高畑耕治の詩


傘をめざして原爆は




醒めたシラフの目に、立派な政治家は
大義のために爆弾、原爆厭わず
落とす人たち

被爆者は、政治家の大義の犠牲
落とされた、苦しみつづける
人たち

わたしも
落とされる人

素早く隠れる準備は整え
落とされることなく
落とす
原爆
正義だとのたまう
政治屋を
厭う

核の傘なんて言葉
傘への侮辱

わたしの雨傘は
雨つぶ、弾き奏で
わたしの日傘は
光、浴び吸い込み
わたしをまもってくれつつ

怒っている

核の傘なんて言葉
傘をさし、生きている
人への侮辱

ずぶ濡れにされ
死の
傷みの
傘に
閉じ込められ
置き去りにされてしまった
ひとりひとりの

ぬぐわれることのない
痛み
悲しみ
ただいちどの、その人だけの
生と
死への

祈りへの
侮辱





「 傘をめざして原爆は 」( 了 )

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