高畑耕治の詩


儚さへ。捧げもの



真善美をもとめずにはいられずに
真と善に裏切られる死の淵でさえ
詩は愛おしいひと
美ばかりはあきらめきれず
創らずにいられず

そのようににしか
生きられませんでしたと
かえられようもなく
あがき

ほんとうにうつくしいもの
慕い
あがき果てて

身とこころをおぼろ月
あるやらないやら
あやふやな
こがれる美神のあなたへの
せめてもの
捧げものとする

真善美のゆらめき
輝き囁き舌ざわり肌ざわり香りも
分光プリズムの
虹色の
雪片

影と闇にひるがえり
ひき離され
惑い
ひき寄せられ
交わり
隔たりの皮ふすらうすれ失う
よろこびの薄明り

無限透明天球の
呼吸ふきこまれ
凍りつくす
ひと滴の
あわ雪の
夢の


儚さの
純粋


美に

溶け果て
かたく結ばれ

消えされますように




※ 読み 雪片: せっぺん



「 儚さへ。捧げもの 」( 了 )

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