高畑耕治の詩


星波の花環

  阿胡の海の荒磯の上のさざれ波わが恋ふらくは息むときもなし

         万葉集巻第十三 ( 三二四四 ) 作者未詳



 泥透明花


泥池に泥の造花は虚しい
泥池にも美の幻花
けはい
咲き散らす

詩宇宙と異時空の
紛争の星にも

ひろく、ふかく、こまやかに、はるかな。

ほほえめるもの
ふるえ
ふりつもり
ふるふるる

とけきえてゆける
うつくしいかなたへのものを




 波幻花



波の花
浮かび沈み
ひかりかげり
波間にも


痛み悲しみ
散り
結ばれ
海に




 花冠座



夜空を
星肌に受光する
瞳孔に受胎し
星となる

いつまでも
なぜ、
と瞬けば

とある星の子の姿をかり
闇夜おとずれる
宇宙深海ダークマターの精
ささやきこっそり
おしえてくれたのです



 遥かな海のささなみ
 夢限夜空に
 星色心彩の
 星座を

 想い描き奏で
 いのち

 星夜空の
 花の環に
 結ばれる




※ 読み
星波の花環: ほしなみのはなわ。阿胡: あご。荒磯: ありそ。息む: やむ。
泥透明花: どろとうめいか。波幻花: なみげんか。花冠座: はなかんむりざ。
星色心彩: ほしいろしんさい。



「 星波の花環 」( 了 )

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