高畑耕治の詩


夏木立




のぼればあの
青空



サルスベリ 赤く淡く黙トウし



鳴き声の海のしぶきの
真夏の終楽章の波の高鳴りへ
飛べ

堕ちたセミ

描いた放物線
ちいさな軌跡
この記憶に



よろこびもかなしみも海辺に
白ゆりの花



気づけばいちめん白ゆりの花ツクツクボウシ

黙って静かにたくさん泣いているこの夏ぼくはセミに同情できない
夏木立
ともにひかりあおぎ鳴くばかり

水色のトンボ
透明な風の水面に
みどりの草むらのかげに
美しい調べの季節ふるえ
羽化する





「 夏木立 」( 了 )

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