高畑耕治の詩


れくいえむ



悲しく
やるせない
選択
秋の長雨の晴れ間の
洗濯日和に

ほかのひと
ほかのいのちまで
救える主として
生みおとされた
のではなく
わたしとおんなじ
なのに
なのになんだか
悲しすぎたのか
あのこは

優しい秋の
陽射しの
空に
呼び招かれ
てるてる坊主
苦しく
くびれ
季節ちがいの
風鈴
泣き鳴らし
あのこばかりを
救おうと
するしか
なかった



救えた

祈る
しかない
もう
あのこは
悲しくなんかない


長雨の
つかのまの
晴れ間
召されず
悲しすぎて
わたしは

あのこの
無念に

無数の無名の
草むらの虫の
鈴なりの
美しい
音と
虚しい
わたしの
せめてもの

れくいえむ




*読み: れくいえむ: レクイエム( 鎮魂歌)。
    主: しゅ。空:そら。音: ね。



「 れくいえむ 」( 了 )

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