高畑耕治の詩


キンモクセイ、きみと



風に薫り
雨に匂う

現代語はもう
失ってしまったけれど
紫式部の源氏物語にいまも
花もひとも
薫り
匂う

「 気づかなくてごめんね 」
「 散って知らせてくれたんだね
 ありがとう
 きみは
 ここに
 咲いていたんだね 」

光に照り輝く木の葉のかげ
風を薫らせていたきみ
ちいさな
いのち
星の花

「 あのおんなのこ
 ふりかえり
 微笑みかえしていたのは
 微風に
 ふるえるきみの
 薫りに
 くすぐられたんだね 」

アスファルトの車道に雨つぶは弾け
ヘッドライトに
照らしだされ輝きをます
オレンジやるせない天の川
ずぶ濡れの散り終えた花の
かたち
うつくしく
いのちのあかし
匂う









花の


風に
薫り
雨に
匂う

花のように

散りながらも
咲く

花のように




*読み:
星 星 花の 星
ホシ ホシ ハナノ ホシ
セイ セイ ハナノ セイ
( どちらでも、自由に。
できるなら、同時に。ハーモニー。
または、繰り返し。輪唱。
心に言葉の花の星の精、咲かせる )


*ふりがな 微風: そよかぜ

*参照 赤羽淑
源氏物語における呼名の象徴的意義
―「 光 」「 匂 」「 薫 」について



「 キンモクセイ、きみと 」( 了 )

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