高畑耕治の詩


ムラサキのかんごしさん



 花の色は


似ていてなんとなく
惹かれ
好きなのだといいます

花びらほどのうすさのささやき
交わしています

青空白い雲の棚に
フジ
新緑の木洩れ日に
スミレ

愛しく
けんめいに
つかのまの

恋ムラサキ



 夕花


西の地平に
うすオレンジのさざ波うち寄せると
うかぶ三日月と夕星
天頂までもう
ムラサキの海

星雲もようの
花棚のフジも
花壇のスミレも

天球とともに
濃いあい色に染められてゆきながら

灯った病窓のおくの
ひとに
話しかけています



 ムラサキのうた


ムラサキの
花のこころの
かんごしさん
星空の花の
こころ優しい
かんごしさん

生きていてね
わたしたち花と
咲いていてね

あなたの
微笑みに
わたしたち花
微笑む

あなたの
悲しみに
わたしたち花
悲しみ

あなたに
微笑む




*ふりがな 愛しく: かなしく。夕花: ゆうばな。
  夕星: ゆうぼし。星雲: せいうん。花棚: はなだな。



「 ムラサキのかんごしさん 」( 了 )

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