高畑耕治の詩


あおの果て



白鷺たちもときおり
舞い降りてきてくれるせせらぎの
あおく遠いあの山脈からゆっくり
あいにきてくれるさざなみの
きれいなこの川のほとり
くるしくあなたと暮らしたこの町をわたし
離れることになりました

かたくななこころをあらい
ささやきつづけてくれるでしょうか

ネオンの明滅する喧騒
ビジネス軍靴の混濁する騒音にも
かき消されず
聴きとりつづけること
できるでしょうか

白鷺あなたがくちづける
水と光のひそやかな
音楽
まばゆくうつろう
旋律

舞い立つあなたの
白い羽毛の
胸と翼でうけとめる風の
香りと音色
舞いあがるほど
あおく
澄んでゆく光を

見失うことがありませんように

はるかな視界の果て
地平線に
いつか
ひろがりわたりますように

空に抱きしめられ
優しくしなう


この川と
あなたとふたたび
めぐりあえる
かもしれない儚いのぞみの

七色に淡く
たちのぼり
浮かび
消え
果てる

無限への
階調

この世もあの世も
雪色に
ふりまじり
溶けてゆく

無色無音

無限 の
諧調

水平線の
翼の

彼方




*ふりがな 山脈: やまなみ。軍靴: ぐんか。
    音色: ねいろ。儚い: はかない。
    七色: ななしょく。雪色: ゆきいろ。
    無色無音: むしょくむおん。

*参照 階調:グラデーション。諧調:ハーモニー。



「 あおの果て 」( 了 )

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