高畑耕治の詩


最後のいちりん



 いずみ


流れ過ぎていった夏の
水波の音楽
眩しく激しく
光と抱き戯れた滴たち
咲き乱れた
花波

もうだれもいない

記憶のさざなみの
えこお
ふいにわきあがり
吹き零れた
美しい旋律
ちいさな泉

もうきみしかいない
山ゆりの花

泉の滴も花びらもいのちもみんな
最初の
最後の
いちりん



 こころ


あたりの草むらみんな
刈りとられていたから

咲けたのにきみも
もう刈られて
いないんだと
悲しく
探した

きみは
咲いていた

遅咲きの
きみだけを
触れずに刈り残した
造園の人

花が好きな
こころが花の
優しい人
いるんだ

ひとりうなずき
咲きつくす
白ゆりの花



 もういちど


あのあたり
初めてであえた場所

白ゆりきみは
どこかへきえたあの日の
黒ねこ子ねこ
あの子の
生まれ変わり

もういちど
会いにきてくれたのでしょうか




* えこお:エコー。こだま。



「 最後のいちりん 」( 了 )

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