高畑耕治の詩


穂波ゆらめき



秋の夜空から
澄んだ声
あんまり呼んでくれるから

枯れ野原にたたずみ
あくがれるばかりの貧しいこの

さ迷いでてしまうのです

すすきの花の穂
頬に触れ
( ゆび
 やわらかだった
 あのひとの )


なでられ
なぐさめられ
( 優しかった
 ひと )

夜空の黄金の瞳から
あふれだして
涙つぶ
穂波に

たたえられ
いちめん
ゆらめいて

いつかどこかであなたと
生きた
悲しく
かけがえのない
時を

泣いているのです




*ふりがな 黄金: こがね。時:とき。



「 穂波ゆらめき 」( 了 )

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