夏青空
わきあがりまぶしく輝く
白雲の裏側の底のあの灰いろで
膝を抱え目を閉じてなら
まだ生きてはいられるか
地に焼きつく樹影
まだらな光に浮かぶ
小舟たちの一葉の
影に溶けてならわたしも
のせていってもらえるか
夏空のむこう
とおいところ
おちてゆくのかのぼってゆくのか
うつろなまま
くらがりから
星あかり
みちびかれて
樹皮
気づけば
ないていました
舞い散ってゆくのか
舞いあがりどこへか
ゆけるのか
ないてばかりいます
砂粒のように
あじけないわたしの
ひと夏の涙粒もあの
星あかり遥かな
滴と散りばめられ
もういちどやすらいに
咲けるのでしょうか
らせん描いて彼方
吸い込まれてゆくところ
すくいあげられ
ゆくところ
くるくる
まるで万華鏡のようではありました
星空のもと虚ろに這いのぼり
樹皮
気づけば鳴いていただけだとしても
夏空透明に
いのち響けセミ