高畑耕治の詩


くちびるかむ月



赤くたかく燃え舞い落ちた
楓の枯葉のように
冬夜空痛く
かぼそくゆがみ
かじかみくちびるかんでいるのか
ちぎれそうな月もわたしも

いつまでかしらず
たちくらみもころびもせず
地と太陽と銀河と
くるくる空ころがるよ
身も世も天もほろび
輪廻ほころびても

まわるばかりの
渇いたでこぼこ岩のかげりに
やわらかなひかり
やさしいくちづけ

いつかどこかとおくで
めぐりきますように




*ふりがな 楓:かえで。空: そら。輪廻: りんね。



「 くちびるかむ月 」( 了 )

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