高畑耕治の詩


いっぴき



シイシイいっせいにしぐれだした夏のはじめの

どこともしれない宇宙のかたすみの
アンドロメダのかたわらの天の川銀河の
太陽系の青惑星の海の島の
丘陵にたたずむ
一本の樹の根もと
土に
いっぴき

いつともしれない
いま
ジイギイ死にかけているよセミ

生きつくせたのか



  反歌


夕暮れ木の間にこだましてゆくかなかな
かなしく響くのはセミたぶんきみの面影のせい




*ふりがな 木の間:このま



「 いっぴき 」( 了 )

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