傷つくために生きているようなものだ
痛みにたえてしわくちゃに
産みおとしてくださった
母の
すべすべに肌を
あたためてくださった
手のひらとゆびの
記憶だけに励まされ
ひとすじひとすじこころに
傷をひきながら
痛みのしわを
ひとすじひとすじ愛するひとと
手のひらとゆびで
けしあいたいとねがいながら
傷もしわもすっかりきえて
生まれるまえに生まれる日まで
かなわずただ
ひとすじひとすじ
きざまれるばかりの毎日でも
のぞんでゆくかぎり
傷も
しわも
わるくない
雨あがり
道ばた瞬く
紫陽花に
夜あけの
星に
つたえるしかなくても