高畑耕治の詩


さくらいろ変奏



 ミツバチ


あんまりにも明るい菜の花きいろ
くちづけ吸いたかった
ミツバチになりたい朝です

ちる花の
羽ばたきのしずけさ
慕いまねて



 妖精


まう花びらの羽さくら妖精どこまでゆくの
春のどかなひかりに



 一年生


リハーサル
発声練習のよう
ウグイスのうた
さくらいろ

あびてはずんで
ちょっとつまずいてもへっちゃら

かけてゆくよ
一年生



 かげろう


うっすら水いろの
空の湖のほとり
宇宙の音うちよせる
岸辺しずかなひかりに

薄羽さくらかげろう
まばゆく
舞いしきる



 小舟


そよ風の七いろの波
ひるがえるはかなさの
花の小舟には
きっとしがみついているよ

( 目で追いみんな
 探してる)

おんなのこ
おとこのこ
さくらいろの
恋人たち

風のりあんなに
たかくとおく

小人ことばの
ささめき
無音のくすくす
こだましてるよ
無限に




*ふりがな 音 : おと。薄羽 : うすば。七色 : なないろ。



「 さくらいろ変奏 」( 了 )

TOPページへ

純心花
目次へ

サイトマップへ

© 2010 Kouji Takabatake All rights reserved.
inserted by FC2 system