高畑耕治の詩


考えるカエル
  ― 死生音楽、オタマジャクシの



五.木の葉のように


あなたのうた忘れない

あなたはいま
どこにいるの?
地獄極楽天国浄土
時空のひずみのどこを
どの宇宙音楽を
どの銀河楽章を泳いでいるの?

あなたと出会い
あお空にも海にも星空へも
跳べる
泳いでゆける
こころしりました

焦がれるまま
旋律の小川を
前世の記憶の日の
あなたまで
ぴちゃぷちゃ泳いでゆきたい
あなたと泳ぎたい

いま
冬景色
木の葉も
儚い虹色うしない
さみしげなオタマジャクシ
風の五線譜に
舞いひるがえり
散ってゆきます

「 からからさらさらちりちり
 枯れ葉
 セピア色うすれしらしら
 したしい土にかえりましょう

 かえりましょうねむりましょうやすみましょう

 からからさらさら
 さようなら 」

わたしも冬眠まえの
枯れ葉色のカエルですけれど
からだの色やがてうすれ
いつか
水滴みたいに
澄みきり
いのりの
ひびきの
無色の
オタマジャクシになり

どこにもいないあなたと
どこにかいまもかならずいるあなたと
もういちど
うたいたい

わたしは
正気の
つもりの
音楽狂い合唱オタク
宇宙の闇とひかりにゆらぎ泳ぐ
涙ひと滴のシミ
オタマジャクシのなれの果て
考えるカエルです

生みおとされた今生の
眠りの季節はまもなくですから
最期のうたかもしれないと
こころこめ
ゲコゲコ
うたっているのです

銀河またたく宇宙空間
ひとでなし社会の渦中
叩きつけられペシャンコ
踏みにじられながらも
あなた想い
焦がれ
願い
うたうのです

さまよう
銀河の
枯れ葉の
オタマジャクシの

魂の


 ぽろぽろ
  ほろほろ
   ぼろぼろやがて
    おぼろになろうとも
けして
うしなわれることのない
死と愛
うたいつづけたなら

いつか
沈黙に
沈んでゆき
しずまるやすらぎをどうか
あたえてくださいますように





「 考えるカエル 五.木の葉のように 」( 了 )

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