高畑耕治の詩


銀河のノクターン



疲れきりなにもできない
雲ばかりの
星のみえない夜には
どこへゆこう
どこへゆけるのでしょうか

どこにもわたし
ゆけません

ひかりのない不安に
押しつぶされそう
身動きできず
横たわるばかりです

沈み
浮かび
静止し
重苦しく息つまる
けだるい
ゆううつな
とき

そのとき
なぜか
どこからか
しらべ
聞こえてきたのです

雲のむこうから
もの悲しくさみしい
ささやき
みえない星空に
波うつ
ノクターン

「 あなたの星とともに
 あなたの月とともに
 あなたの太陽とともに
 天の川銀河とともに
 アンドロメダ銀河とともに
 あなたはいま
 旅しているわ

 あなたの血とともに
 あなたの体液とともに
 あなたにすまう微生物とともに
 細胞らせん遺伝子とともに
 分子原子クォークの銀河と
 あなたはいま
 旅しているわ

 さまよいきらめく
 もの憂げな
 銀河の
 音楽

 ひとり旅じゃない
 あなたは
 生死の
 メルヘン
 メランコリー星雲
 めくるめく銀河の
 メリーゴーランド

 ひとりじゃない 」

ずっとずうっとむかしから
いつまでのことやらまるで
わからず
果てしもなく遠いとおい
なんにももうなんにもない
遥かな終わりへ

不思議ばかりが
悲しく苦しく
美しい
時空を

ひかり
泣きひびき
奏でられて

いま
旅しています

銀河の音符の
蓮の花
無限時空に
咲き乱れ
散る

愛しい
ノクターン




* ルビ 愛しい: かなしい



「 銀河のノクターン 」( 了 )

TOPページへ

銀河、ふりしきる
目次へ

サイトマップへ

© 2010 Kouji Takabatake All rights reserved.
inserted by FC2 system