高畑耕治詩集『海にゆれる』


あわ

こおるくろからあいにあおはめざめる
ことりたちがとびはじめた空
星はしずかにことりの瞳にうすらいでゆく

またたくまつげもまぶたももたないさかなたち
もうめざめたか うすくひらいたくちからはく
まるいあわ 海からのぼる
太陽をついにみたか

と思ったそのとき
雲はひょっこりやってきて
水平線にちぎれずならび
あかくそまり
むじゃきにわらう

かなしみくるしみにやさしくまもられ
かすかな朝がかおるかぜに
波はうたう

はじまりはおわり
おわりははじまり



「 あわ 」( 了 )

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