高畑耕治の詩


親子雲の話
  ― 二〇一五年秋、国会議事堂上空の


おかあさん、
ほら、あの三角屋根の建物のまわり、
きらめき渦巻いてるのはなんだろ?
天の川銀河のよう。

あのひかりはね、優しいひとたちの、怒りよ。
ひとの、こころの星の、
輝きなのよ

おかあさん、ひとって、不思議ね。
色とりどりの瞬き、
なんてきれい。

ほら、きこえるでしょ。

「 戦争するな
 誰も殺すな
 子どもを守れ 」

わたしたち雲にまで、
響くなんてきっと、
こころの翼の、
ことばなのね。

おかあさん、わたしたちの、
おともだちだね。
ひとの、
怒りのひかり、
みまもっていようね。



  同反歌


まぶしい無数の無垢いろの
怒りのひかり
ハトよハト
夜空のあの雲の白にまで
とどけて

乳いろにうるむやさしさの
羽毛に
悲しみくるみ
地平にたたずみ仰ぐ
ひとの渇きを
かき抱き
舞い羽ばたいて

親子雲の会話切り裂く
戦闘機の金切り声
つんざくばかりの荒廃の島の
夜空にも
高くさやかに
こころの星
ささめかせて




* ルビ かき抱き: かきいだき



「 親子雲の話 」( 了 )

TOPページへ

銀河、ふりしきる
目次へ

サイトマップへ

© 2010 Kouji Takabatake All rights reserved.
inserted by FC2 system