高畑耕治の詩


秋の音



  


しまったばかり
なのに窓辺からほら
きこえるよ

風鈴

かぞえきれない
ちいさないのちの
りいりんりいりん

秋がなる



  さえずり


ほらきこえるよ
さえずり

愛しあう
虫の音の



  風いろ


草くすぐる風いろの
虫の音になれたらいいのに

響いてひびいてきえてゆければいいのに



  満天


秋くもり夜空
満天の
虫の音



  あい


つかれかなしいこころにも
いかりいたむこころにも
あいのうた
うまれますように



こんなくろこげぺしゃんこのこころにも
ふりそそぎ
きこえて

やさしいね

とうめいなはね
すりあわせ
うまれるよ

うつくしいね

むしのね




* ルビ 音: ね。



「 秋の音 」( 了 )

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