高畑耕治の詩


愛しい空へ



耳うら後頭部にデモの声くりかえし
こだまつづける帰り道
汗ばむ夏の終わりの夜道
夕立のしめり肌にひんやり

虫の音につつまれている
秋の音こんなに
優しい

なのに夜空には傲慢な
傷つけ殺し壊すための
軍用機
汚い爆音撒き散らす

春の小鳥
すきすきすきひよひよ
夏のセミ
かなかなかなつくつく
秋の虫
るるるるるるららりりり

うちよせる調べ
ゆれるふるえる
せんさいなさざなみ
愛しい空へ捧げる
美しい音楽

乱し隠し穢す
粗雑機械音の暴力
許さない
この空から
消そうね

めぐる季節の記憶に
なりやまない旋律に
溶かされ溶けこみ
誓いあう



  同反歌


おはよう秋のうすいあお美しい空の

醜い軍用機
はやく消えろ




* ルビ 音: ね。愛しい: かなしい。



「 愛しい空へ 」( 了 )

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