高畑耕治『死と生の交わり』


共生感覚は失われて


共生感覚は失われて 私はひとり
私をさまよう
空虚な檻のなか 飼われている
拡がらぬ空間 時の単調な流れに
氾濫することもない
ひとの声を聞きとれない

 私は閉じ込められている
  私が 私を閉じ込めている
 私は目を閉ざされている
  私が 私の目を閉ざしている
 私は耳をふさがれている
  私が 私の耳をふさいでいる
 私は言葉を殺されている
  共生感覚は失われてと口にする
 私が 言葉を殺している

殺しあう
檻のなかで
自食する
共生感覚は失われ
空漠をみたすものは
 私の死骸が散乱する景観と
漂う腐敗臭 この美臭



「 共生感覚は失われて 」( 了 )

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『死と生の交わり』
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