高畑耕治の詩



* ルビ 愛しく: かなしく。愛しく: いとしく。愛おしく: いとおしく。





蓮の花、泥池の




この星で毎日いま起きていること
この島で毎日いま起きていること
伝えられ
想うと
嫌になる
世界
社会
人間という
残虐な生きもの

けれどなぜか
好きになること
愛すること
ひと想うこころ
なにより大切にもできる
へんな生きものでも
まだあれるから

ひとを生き
愛しあいたい

「 二十歳前から
 世捨人
 放浪しているんだ
 ってね 」

落ちこぼれ
だつりょく系なので

「 こころフウテン
 自己責任だ
 ってね 」

不良品
はじかれ系なので

「 なのにぐれてやる
 ってね 」

不用品
いらねえ系なので

浮かんだ
言葉
からから
悲しい

「 誰にむかって
 すねてるの? 」

神様に
仏様に
宇宙に
世の中に

「 あなたいくつになりましたか?
 みっともない 」

すみません
育てませんでした

うつうつとした時間は
ぐつぐつなすすべもなくゆでられているよう
熱湯で

「 それは地獄とやらの描写ではありませんでしたか?
 ここは地上です
 レッドカード
 ぴぴ 」

ああ
ああ
とばかりこぼしてきました
おろかものと
ゆびさされても
ひとなのだからひとらしく
わたしであるまま
きょうもただ
ああ

アート

「 くだらないだじゃれは身を滅ぼしますよ
 詩人の死ですよ 」

醜さにまみれるのもまた
ひと
だとしても

生まれることできたのだから
美しいもの 生きものたち

 泥池にも
 蓮の花

想わなきゃ 感じなきゃ 伝えあわなきゃ
この一瞬のうちに

 しあわせ

あの空のあおのように
澄んだ言葉が
日本語にもあるとはるかむかし
ならった
気がする

 へいわ

お母さんの肌と笑顔のような

やさしいやわらかなあたたかなきれいなぬくもりある言葉も
穢されながらも壊されず
まだある
気もする

なら
まだ
さまよおう

放射能に染めあげられる
この海の星を
戦争紛争だらけの
世界を
武器開発製造販売競争狂乱物欲イジメ
社会を

人間という
残虐な
無惨な
醜く
悲しい
生きものであるまま
生きものでしかありえないまま

けれど
生きよう

大切に想うやさしいひと
ひとりひとりを
あなたを
こころから
愛しく
愛しく
愛おしく
好き
愛している

いえる
生きものでありえる

いまを





「 蓮の花、泥池の 」( 了 )

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