高畑耕治の詩


さくら、恋うた( う )

もみじして



  赤ちゃん


ああもう花のない
葉ざくらこんなに
枝えだきみどり

みつめると
さくらじゃないよ
手のひら開くかえでの
赤ちゃんでした
やわらかなゆび
風に笑顔で
さくらバイバイ

晩秋
深紅の極みに
散りゆく未来
いまさりゆこうとするさくらの
儚さに透かして



  いのちの彩り


さくら淡いあわい初恋うすもも
せつない儚さ思春期いろ
若葉萌え
新緑に深緑に
枯れ葉夕映え

かえで赤ちゃんきみどり
春夏
やがて秋
純愛深紅
黄に虹いろに
染まり果て

ちりちり交わり散ってゆく



  もみじして


さくらに生まれわたし
かえでに生まれわたし
いのちのまるみ
つぼみにやどし
うれしいのか悲しいのか
不幸せなのか幸せなのか
どうしてもわからず
生きていること
咲いていることとても
不思議なのです けれど
さくらもかえでも

もみじするのですねできるのですね
あかく燃え
焦げくだけ
交わりあえるのですね
いつかあなたと



  かえでの花


うすきみどり淡くやわらかな葉
かえで新緑手のひら

みまもられ開く
赤いつぼみ

とてもとってもちいさな花

みつけたことだけ
今日のしあわせ

お外もこころも曇り雨ふり
さくら散り果てさせた
悲しい雨ふり
でも

かえでの花
きみにあえた今日わたしの
とてもとっても
たいせつな日




「 もみじして 」( 了 )

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