高畑耕治の詩


さくら、恋うた( こ )

ふりしきる



  面影


さくら花びらどうして散るの
ひとひら あのひと
ひとひら あのひと
ひとひら ひとひら
もうあえない愛したひとはらり
儚くかすみ
手をのばしてももうふれられないただ
散りゆく面影
追うばかり



  静けさのうた


さくら花びらあなたふりしきる静けさにたたずみ
美しいうたに染められ
もううたえないただ
あなたといたい



  流れ星


遥か夜空にさくら花びら
流れ消えゆくとき

梢の枝さきから
ひとひらふたひらみひら儚く
流星群

さくらあなたはふりしきる
流れ星



  瞬きのうた


さくら花びら
舞い散るすがた美しいうた

さようなら
 さようなら

枝えだの星にめしべおしべたたずみ
どの星も星も星も瞬きのうた
さくら花びらさようなら

さようなら
 さようなら
  さようなら



  


さくらさようならの花びら
美しくさいご舞う
あなたのせた風
わたしの頬に耳もとに

あなたの
愛( かな )しい声
無音の
さようなら

忘れられない



  花ゆき


ふりしきるさくら花ゆき
ひとひらひとひら
ひかりの精
花の精
きらめき
ひるがえり
ささやいていました

ことりさえずり
あたたかなひかり
あたたかなしずもり
あたたかななみだ
あたたかなわたゆき

さくら花ゆきふりしきる
あなたとてもあたたかでした



  


ふりしきるさくら花ゆき
ふりつもり
アスファルトさえ
花ゆき野原

さそわれたのかな
菜の花畑から
舞ってきたよ
花びら


 ふ

 ふ



  ささやき


ふりしきる花ゆきの
静けさに

美しいものもせかいにあるよ死ななくてもいいよ

聞こえた気がして



  めまい


さくら花びらひかり透かしてひるがえる
儚いあなたの美しさどうしても
まぼろしとしかおもえなくて
ふりしきるあなた
さまよう

花もわたしもまぼろしでしょうか
まぼろしでしたでしょうか
まぼろしへ散りゆくのでしょうか

あなたさまよう宇宙感覚の
めまいの果てに
花ゆきひとひらになり
赤い満月かすめ
宇宙空間
舞い散りおちゆくことだけが
いつしかわたしのゆめでした



  愛しみのうた


さくら花びらあなた散り果て
もう目のまえに姿なくても
あなたの
天の川銀河の
ほのかなふくらみ
星の
花の
愛( かな )しみのうた

こころに
瞬き
ふりしきりつづける




「 ふりしきる 」( 了 )

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