高畑耕治の詩


さくら、恋うた(さ)

咲き初めの



  静止画


散るものとばかり思い定めていたわたし
淡い空のあおに
儚い花びら

身じろぎすらしない
静止画
香る
永遠

息とめて

涙に
やどれ



  夕焼け


夕焼けさくらいろ
淡いまま花は溶け

お月さまも梢に頬よせ
そっとくちづけ



  初恋


さくらあなたはせつなさに頬染めはじらう
少女の初恋いろでした



  ゆきやなぎ


さくらほんのり頬染め
恋うたうたうあなたの
髪は風に
美しくなびき

ゆきやなぎも
純白
そよぎゆれて



  しゅくふく


さくらめしべおしべささやきのやさしさ
はなびらのかげひそやかにきすして
ことりしゅくふくのさえずり



  昼下がり


さくらあなたの
ほそくしなう白い腕に抱かれ
花あかりに照らされ
おんなのこおとこのこ
野の花つみ首飾りあみ
頬ほてらせ微笑む昼下がりの

とうとい時どうか戦禍なんかに
奪われませんように

さくらあなたがめぐりきてくれる
あかるいこの季節には

いつまでも




「 咲き初( そ )めの 」( 了 )

TOPページへ

銀河、ふりしきる
目次へ

サイトマップへ

© 2010 Kouji Takabatake All rights reserved.
inserted by FC2 system