高畑耕治の詩


海に、水平線に



  プロローグ



今日の日も美しく
まぢかでぼおっと
みつめていたら

こころあなたに
落っこちた



  


なぎさ波と砂粒の音楽
潮水ひかりひそやかに
砂浜のはだ愛撫し
くちづけ繰り返し
ささやきあい
さざめきあい

潮風の波乗りユリカモメ
軽やかなゆるやかな爽やかな
飛翔
小舟のように波に浮かび
岩場にたたずめばシルエット
港の岸辺の船乗りのよう



  真昼


海藻なびかせ
みどり透きとおる波
磯にうち寄せ
せりあがり岩に
砕け
しぶき滴しろく
散り

青空高くトンビゆっくり
描くおおきな輪
ときおり急降下
空中体当たりしたり



  昼下がり


のどかなひかり昼下がり
波間に首ひょっこり
ウミウのんびり
きままなでんぐり返り
潜り消えて
ほらあんなところから
ぷっかり

波紋すらなく澄んだ潮だまり
小魚ひっそり静止し
尾ひれ胸びれ不意に
ひらふらふらら
さようなら



  夕暮れ


たちこめた雲の
裂け目から零れ
射し込むひかり
海面は銀の輝き
きめこまやかな
織物模様ひろがり

遮るものも境界もなく
見渡せば色彩無限の
グラデーション
空も海も
あおく
しろく
水平線も
銀色
金色に
溶け
結ばれ

羽おおきく懸命に
波うたせ
波がしらかすめ
ウミウ二羽並んで
飛んでゆくよ
ずっと向こうへ
沖合はるか
みえなくなるよ
水平線に
溶けてしまうよ

ぼおっとこのまま
わたしも
大好きな海
あなたになりたい



  エピローグ


愛するひと流され
波も潮騒もいまも痛くて
悼みの海に沈みただ
あなたといたい

波音は涙
かなしい



  反歌


放射能汚染水
今日の日も完全にブロックされ
外洋へと




「 海に、水平線に 」( 了 )

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