高畑耕治の詩


秋の音



   夜の音


ふりしきりかさなりあう
落葉のきぬずれのおと
埋もれ去りゆくかすかな
さよならの
虫の音

つつんでくれたねあんなに
こころの羽根
すりあわせわたしも
ないていたよ

落葉ふりつもれ
あたためて
歌い終えるまで
最期まで

ありがとう
秋の音
さようなら



   朝の音


小鳥かわいいさえずりに
こだまし聞こえる
夕やみの記憶の
虫の音
後朝のさびしさのおと

待ちつづけ
逢えて

過ぎて

澄みゆき
氷る


冬のしずけさの
初音

季節めぐりゆきひとり

あなたと
ふたり
また

愛しく
信じて



  *ルビ 音 : ね(秋の音、夜の音、虫の音、朝の音、初音)。後朝 : きぬぎぬ。愛しく : かなしく。


「 秋の音 」( 了 )

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