高畑耕治の詩


いつか、夜空の海に溶け




素直に疲れたとだけいい
ねむれたなら
いいな
目覚めるかどうか
わからなくても
好きなひと
おもい
沈めたなら

生きるためにすり減った一日でした

ここ数日みあげても
月も星もみえないどんより雲
疲弊したわたしの心もよう
さびしい

まるでクラゲだ まあるいクラゲだ
月を恋う
波まから みあげれば
りんかくおぼろ
あなた恋う

クラゲのように生きてきた
骨なしとうめい
死ぬまで反骨
ふわふわゆるゆら
骨太のむなしい方針放射能
汚染水撒き散らかしみてみぬふり
愛する海汚す厚顔無恥有害種にこそ
このクラゲの身の毒を

宙にも惑うクラゲたち
水星 金星 火星 土星 木星

言葉 響かせ
愛しい姿 おもう
こころ 夜空になる

真砂なすお星さま
てんでばらばら
うぶごえ ゆいごん
いりみだれかがやく
なんてでたらめ
美しく

星も
さびしかろうに

海のいのちもまねるよ
潮水に

ヒトデ
さびしかろうに

生きるためにすり減った一生でした

プラマイ
ゼロ
あっても
なくても
かわんない
なんてかなしい


やさしいひと
なんではやく死ぬんだろ?

それでも
生まれて
流れ星
お月さま クラゲに
お星さま ヒトデに
あなたにあえた
きっと
それだけ
嘘じゃない
無なんかじゃないいま
夜空の海で

クラゲおぼろにたゆたい
さびしいこころに
こもりうた
ゆるららおろろ
うたいます

海は夜空に憧れました
ちいさな星のみずたまり
海を夜空は恋いました
ふたり交わり
溶けました

鼓動うち 息する
ヒトデ お星さま
海の夜空に 夜空の海に
あわを ひかりを
もらします
さびしい かなしい
むなしい くるしい
なのに なんで
美しい
愛しい きらい
けど
大好き


ヒトデひかりの手のひら
かなしみのひとの
ほろろ涙つぶ そっと
ぬぐいます

お月さまクラゲとただよい
お星さまヒトデとさまよい
反骨ひとでなしのままいつか
夜空の海の

やさしいひかり
波に
なれたなら
いいな

あなた愛するままに
涙するままに




* ルビ 真砂 : まさご。汚す : けがす。
   宙 : そら。愛しい : いとしい。



「 いつか、夜空の海に溶け 」( 了 )

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