高畑耕治の詩


音。なき虫の



昨日のひとり鳴き今日は
木々のどこからも降りそそがない
かなかな

暮れゆく静かな道

 ( 夏は死に )

草むらふいに涼やかな音色

 ( 秋生まれ )

どこへ逝ったの?
なき虫のままぼくたち
音に
生まれ変われたらいいのに

ほらまた草むらから


愛しくまだ泣いているの?
かなかな




*ルビ 愛しく: かなしく。
音: おと。



「 音。なき虫の 」( 了 )

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