高畑耕治の詩


原爆、横顔の月に



   月を呼ぶ


みず色あい色に深まる夕空
太陽みつめ照らしだされた
月の横顔

ふりむいて


あなたの面影かさね
呼ぶ

かなかななく風に

愛しく
月を呼ぶ



   原爆、月は忘れない


お月さま今日のあなたの横顔は
この星にそっぽを向いて
目をそらしているよう
感じてしまうのはおそらく
この地上に置かれたわたしの
嘆き 悔い 負い目のため

お月さま見えるでしょう
昨日も今日もミサイルと憎悪とびかい
虐殺繰り返されるこの星

お月さま呆れているのでしょう
あなたは見られたのですから
あの原爆の惨劇 悲しみ苦しみ
一九四五年
八月六日広島
八月九日長崎

原爆も戦争も悪だ
殺された方の無念おもい
繰り返さないと誓う
こころと感情と願いと意思
抱いてわたし
今日を生きる

武器と原発の輸出始めだした
歴史に学ばない学べない
愚かな政治屋
あんまり酷すぎ恥ずかしすぎて
目をそらしてしまいそう
この列島からも
この星からも
お月さまからさえ

でも
大切なもの
美しいもの
愛するもの
壊されないよう
奪われないよう
守りつづけ
こころ素直に
生きよう
わたしも


太陽みつめ
今日は横顔
大好きな
お月さま




* ルビ 愛しく: かなしく



「 原爆、横顔の月に 」( 了 )

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